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ガチン!
向かい側でまた無機質な音。
クソ、何でもいい。早く終わってくれ!
ガチン!
目の前の痩せた男が、獣のような咆哮を上げた。
そうだ。これはリボルバーだ。弾を入れる弾倉は6個。
つまり、そういう事だ。
目の前で、男は叫び、喉から血が出ても叫び続け、やがて枯れた声で笑い出した。
狂っている。
笑いながら、痩せた男は拳銃を自らこめかみに当てた。焦点の合わない目をこちらに向けて、
口の端から涎をたらしながら、理性を失った自らの頭を打ち抜いた。
これが現実ならば、まるで冗談だとでも言いそうな程乾いた軽い音が部屋に響いた。
今までに嗅いだことの無い、咽る血の匂い。花火の火薬の匂い。硝煙というのだろうか。
痩せた男の頭が、上を仰いでいる。死んだのか。
左右の男たちが無言で男を椅子ごと何処かへ運んでいった。
終わったのか?
何処からかパンパンと手を叩く音が聞こえてきた。音のする方へ目だけ動かす。誰だ。
「おめでとう、君が勝者だ」
そう言った。少し年配の、落ち着いた中年男性の声。
「勝者?」
勝った? 誰に? あの男にか。そもそも、これは何の勝負なのだ。
ああ、しかしもうどうでも良い。これで終わりなのだ。
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