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俺は叫んだ。
「そうだ! 俺が生き残った、俺の勝ちだ! さあ早く家へ帰してくれ!」
ああ、早く帰りたい。可愛い妻子のいるあの家へ。
「家へ帰る? 何を言っているのです」
中年男性はそう言って、ぱちんと指を鳴らした。目の前が、白く光った。
突然の光に思わず硬く目を閉じた。しばらく経ってから、ゆっくりと目を開ける。
薄暗かった部屋に白い光が充満している。
狭いと思っていた部屋は、とんでもない広さだった。横にも、縦にも。
周りをぐるりと白い壁が取り囲む。白い壁には、無数の窓。
窓の向こうには、沢山の人がいる。金髪、黒髪、黒人、白人、様々な人、人、人…。
皆共通していることは、身なりが整っている、ということだ。
その様々な人々の狂喜の目が、全てこちらに向けられていた。
目の前に、また銃が置かれた。
黒服の男たちが、椅子に縛り付けられた誰かを運んできた。
「さあ、次はどちらが生き残るか?! 賭けを始めましょう!」
中年男性が窓の向こうへ向かって声を張り上げると、窓の向こうはせわしなく人々が動き、
彼らは次々に手にしたコインをテーブルの上に積み上げていく。
黒服の男がまたリボルバーに弾丸を一発。
これはつまり、そういう事だ。
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