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「だから、今月はめっちゃピンチなのよ」
喫茶店Peaceで働く、麗しき華の女子大生トリオの一人である佳乃は、帰宅して来た秋の横に座ると、業務中にも関わらず仕様もない話を始めた。
そんな二人を見ていた薫は、佳乃を注意しようとしたのだが、秋の異変に気が付いた。
「やっぱりミホは……って聞いてるのか~」
ようやく自分の話が秋に伝わっていないと分かり、佳乃は秋の肩を揺さぶるがそれに合わせて小さく動くだけで、秋からのリアクションは皆無である。
「ほら佳乃、これ運んで」
薫はコーヒーとサンドイッチが乗せられたトレーを、秋に絡む佳乃に渡すが、今のところそんな注文は来ていない。
そもそもこの夕方という時間帯には珍しく、喫茶店Peaceの主だった客層である女学生や帰宅途中のOLさんが来ないので、暇を持て余した所に秋が帰って来たので、佳乃はまっこと致し方なく、シメシメと絡んだのだ。
「あれ、薫さん。これは?」
「運んで?」
「……ヨロコンデ」
文字数にして三文字だが、まるで見えない圧力……そうギアス(店長権限)という圧倒的な力がその三文字には発生していた。
薫の店長権限に脆くも屈した佳乃は、すごすごとミホが横に立つ窓際のテーブルに移った。
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