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一旦授業が始まってしまえば答えのない視線の事は一旦頭から離れ、期末テストの為にと教師の話す言葉や板書に意識を集中させた。
幸い今日の授業に数学はないので、途中でやる気が失せるような事も無かったのだが、体育も無い日なので一日中教室に篭もりっぱなしになってしまう。
何とか四限までは集中して勉学に励んで来たのだが、これから始まる英語に関してはもう色々な事が混ざり合ってしまい授業どころではない。
チャイムと共にキャサリンは愛想を振りまきながら明るく教室へ入ってくるのを見るに、彼女は昨日の出来事を気に求めていない様に見える。
それはそれで自分が意識し過ぎている様な気がしてしまい、秋はあれこれ考えるのがバカらしくなってしまい一時休止とばかりに視線を窓の外へと向けた。
遠くのマンション屋上で何かが煌くのが見えたのだが、それも一瞬の出来事で秋はアンテナが陽光を反射したのかと思うと、再びキャサリンに目を向ける。
その口から発せられる英文、黒板に綴られていく単語の数々、その姿は教師であり、それ以外には思えない。
この彼女は本物なのだろうか?
なんとなくそんな考えが頭をよぎった刹那、秋は全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。
視界の端で先ほど見た反射光が見え、秋の体は考えるよりも先に体が動いていた。
ばっと体を引くと、先程まで左手を置いていた机の天板が抉られる。
そこには小さな穴が空いており、窓に目を向けるとそこにも一センチに満たない穴があいていた。
(狙撃だと!?)
もし耐震性のガラスでなければ衝撃で粉々に砕け散り、教室は騒然となっていただろう。
明らかに自分を狙った攻撃であり、秋は咄嗟にカーテンを掴むと力の限り前へレールを走らせた。
今日ほど窓際最後尾の席で感謝した事はないだろう。カーテンで視界を封じた事で今のところ二発目が無い。
秋の行動はいきなりだったが、カーテンを閉めただけかと誰も気に止めないが、キャサリンの顔は教師のそれではなかった。
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