第一章 「imprisonment fear」

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 歴史を感じさせるアパートの扉が開くと、茶色の髪をリボンで留めた一人の少女が出て来た。  彼女のスカイブルーの瞳は、今朝の空模様と同じように澄んでおり、すっと伸びた背筋が彼女の性格を見せている。  彼女が扉の鍵を閉めると、隣りの扉が開いた。 「やあアリスちゃん、おはよう」  隣りの部屋から出て来たスーツ姿の男性は、彼女にそう言うと同じように鍵を閉めた。 「おはようございます。昨日は何かお部屋を改装したんですか?」  日曜日の昨日は作業服を着た人が何やらお隣に入って行くのを、バイト前に見た少女はそれを口にした。 「ああ、あれは簡単な防音工事だよ。オーディオルームを作ろうと思ってさ」  他愛もないご近所さんとの会話を終えると、少女は学校へ行くために駅へと向かった。
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