9184人が本棚に入れています
本棚に追加
歴史を感じさせるアパートの扉が開くと、茶色の髪をリボンで留めた一人の少女が出て来た。
彼女のスカイブルーの瞳は、今朝の空模様と同じように澄んでおり、すっと伸びた背筋が彼女の性格を見せている。
彼女が扉の鍵を閉めると、隣りの扉が開いた。
「やあアリスちゃん、おはよう」
隣りの部屋から出て来たスーツ姿の男性は、彼女にそう言うと同じように鍵を閉めた。
「おはようございます。昨日は何かお部屋を改装したんですか?」
日曜日の昨日は作業服を着た人が何やらお隣に入って行くのを、バイト前に見た少女はそれを口にした。
「ああ、あれは簡単な防音工事だよ。オーディオルームを作ろうと思ってさ」
他愛もないご近所さんとの会話を終えると、少女は学校へ行くために駅へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!