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花山アリスはフランス人の母と日本人の父の間に生まれたハーフなのだが、幼い頃に父を事故で亡くし、母子家庭で育ってきた。
裕福とは言えない生活に彼女は荒れる事なく、家事を手伝う姿にアリスの母は感謝している。
顔立ちは母譲りの可愛らしさが光っていて、中学の頃からから何人もの男子に告白されたが、家事を優先する為にと全て断っている。
「こんにちはアリスさん」
おっとりとした声の女性に呼ばれ、アリスは手に持つ白菜をカゴに移す途中で顔を上げた。
「高城さん!」
まさか学友に会うとは思わなかったアリスは驚きを隠せない。しかもその隣には髪を金に染めた一見して軽そうな男子生徒が立っていてる。
「高城さん、ひょっとして……彼氏?」
アリスの言葉に彼女は頷く。
「どうも、碧山学園の石川優って言います。よろしくねん」
優はにっこりと笑みを浮かべる。
「アリスさん、あなたは学園の許可を得ていませんよね?」
流石は生徒会長。アリスはそう思いながら気まずそうに頷く。
「もう、何かあったらどうするんですか?」
まるでお母さんのように心配する彼女を前に、ルールを破ったアリスは申し訳なくなる。
「しかたありませんね。夜道は危険ですから、本当に困ったらこの番号に掛けて下さい」
彼女はそう言って貰ったレシートの裏に、とある人物の携帯番号を書き、それをアリスに手渡す。
「では、また明日」
高城美咲は優しく笑みを浮かべ、優の手を掴むと去って行った。
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