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秋に事情を聞く体制が整い、薫は何があったのか問い掛けた。
「トワ……久遠永久が転入して来た」
珍しく口ごもった秋の言葉に、薫はなるほどと頷いた。
薫自身は久遠永久と面識は無いが、彼女の存在があったからこそ今の秋がいるという事は知っている。
「そっか……何か話した?」
秋はその問いに首を振る。
「いや、今日は転入初日だから助かった」
転入生に興味が集中するのは常であり、それが女子だという事もあり、クラスの女子はこぞって永久の事を知りたがった。
男子こそアグレッシブになりそうだが、こういうイベントは同性の方が盛り上がるのである。
「で、秋はどうする?」
「……関わらないようにしようと思う。一度泣かしてるから、合わせる顔が無い」
秋はそう言うと立ち上がり、カウンターに入ると扉を開けて階段を上って行った。
それを見計らって佳乃は薫に詰め寄る。
「何かあったんですか? とっても興味ありまくりますよ」
佳乃はニシシと笑う。
「そうねー。しいて言うなら、秋の元カノが転入して来て、同じクラスになったって事かしら」
「「ええー!!」」
何故か声がユニゾンしており、声を上げた一人として佳乃は何事かと辺りを見回す。
すると理恵と目が合う。
佳乃の口元が、獲物を見つけたとばかりに、ニヤリと笑みを浮かべた。
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