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美鈴
「綺麗な町だね」
薫
「そうか?なんもないだろ?」
美鈴
「なんもなくないよ
確かに若人達が遊ぶには物足りないモノがあるかもしれないけど…
こんなにも暖かな人達が沢山住んでる」
美鈴が俺を横目で見ながら微笑んだ気がした。
薫
「…ま、昼に会ったあいつらのおかげで退屈はないけどな」
美鈴
「いいね、そういう仲間がいて」
弱々しく笑って言うその顔が
なんだかとても寂しそうだった。
美鈴のそんな顔を見るのが嫌で
ずっと笑っていてほしくて…
だから俺は言ってやる
薫
「お前も入るといい」
美鈴は立ち止まり驚きを隠せない表情を見せる
美鈴
「私…も?」
薫
「おう、お前ならきっとあいつらとも笑い合える
なんかな、似た者同士のバカばかりだけど
美鈴も同じ匂いがする」
美鈴
「そう言ってくれるだけで
なんだか嬉しいよ…」
途中から恥ずかしくなり冗談混じりで言ったが
美鈴は泣き出しそうな瞳を隠すように笑顔で呟いた
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