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薫
「なあ美鈴、ちょっと聞いてもいいか?」
美鈴
「なに?」
これを俺が聞いてもいいのか少し戸惑いはあった
だけどどうしても気になって
力になれるのならなりたかったんだ。
薫
「…なんでこの町に引っ越してきたんだ?
他の場所に比べたら田舎だし
何かがあるわけでもないだろ?」
美鈴
「…ごめん、話すにはまだ早すぎるかな……」
そう言って美鈴は俯きながら止めていた足取りを進めた
その背中がとても小さく
今にも小動物が脅えるみたいに
小刻みに震えている気がした。
薫
「…美鈴!」
美鈴
「!?」
俺が大声で呼び掛けると
跳び上がりそうにビクッとした
薫
「買い物に付き合ってやったんだ
今度はお前が俺に付き合え」
そう言って俺は来た道に振り返り歩みを進めた
美鈴は何も言わず小走りでついてくる
それから十五分ほど歩き
人通りの少ない道に来た
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