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「嬉しいけど……。私はバツイチだし……。カウンセリングで話した通り治雄の父親もわからないのよ」
私は少し興奮していた。
色んな感情が胸に込み上げてくる。
透は笑顔のまま羽織っている白衣を脱いだ。
たまに見せる笑顔はまだどこか幼く見える。
初めて会った時の彼が小学生だったのを思い出させられた。
こんな立派な青年になるなんて思っていなかったな。
「関係ないよ。治雄はもう僕の息子だ」
透と出会えて良かった。
私は幸せになれるんだ。
彼は私を強く抱き締めてもう一度囁いた。
「そう。治雄は僕の息子だよ」
<息子・完>
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