ツユハナビ

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その後、特に何かがあった訳ではなく僕達の今年初めての花火はそのまま終わりを迎えた。  ずぶ濡れになった僕と雛を見て、和哉達は呆れたように笑った。 僕は本当に久しぶりに心から笑い返した。 後片付けをして、二言三言別れの挨拶を済まし、和哉の家に戻ってきた。 風呂にも入りご飯もご馳走になって布団にくるまっていた僕につい今し方、和哉は彼女が出来た事を報告した。 先程雛の隣にいた女の子で相田 瞳(あいだ ひとみ)と言う名前らしい。何度か廊下で見かけた事はあるので学年が同じ事は知っていた。雛から片思いしているとは聞いていたがまさかこんなに早くに行動に移すとは思ってなかったので彼女の度胸には驚いた。 僕達は隠し事はあまりしない。和哉に初めて彼女が出来た時も一番に報告された。  良かったな、っとその時と全く同じ言葉を述べて疲れに抗う事無く僕達は眠りに着いた。 この花火の後変わった事と言えば、和哉の話に瞳ちゃんとの惚気話が加わったのと、雛との会話が格段に増えた事くらいだ。 その後、雛と二人で遊ぶ事も次第に増えていき、またそれと並行して二人の間には当然のように恋心が芽生えていった。 そして夏を終えて学校の木々がみすぼらしくなり始めた冬の初め、僕に初めての彼女が出来た。
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