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もしかしたら......
裕ちゃんのためにって思ったら......
僕はテーブルの上にあるティッシュに触れてみた。
大ハズレ。
僕の期待とは裏腹に、ティッシュはフワリともしなかった。
裕ちゃんの額にはりついている髪の毛を見て、どうにもできない悔しさと申し訳なさが膨らんだ。
『ごめんね、裕ちゃん』
手のひらで裕ちゃんの汗を拭っていく。
僕が触れるのは裕ちゃんだけだから。
今の僕で汗を拭えるのは、僕のこの体だけだから。
『ティッシュとかタオルみたいに吸水性はないけど、我慢してね。
ごめんね』
すやすやと眠る裕ちゃんに語りかける。
拭う手は止めない。
裕ちゃんの髪の毛がはりつかなくなるまで止めない。
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