2人が本棚に入れています
本棚に追加
『裕ちゃん、ごめんね』
汗がなくなってもベタつく額を撫でる。
あぁ、僕はなんて大バカ者なんだろう。
なんて軽はずみなんだろう。
『自分が苦しいばっかりに、裕ちゃんにすがりついてごめんね』
裕ちゃんの事は何も考えないで。
自分が苦しさから解放されたいばっかりで。
この人なら断らないとか甘えた考えばっかりで。
『それで裕ちゃんが苦しむとは思わなかったんだ。
つらい夢を見るなんて想像もしなかった』
多分、あくまで僕の憶測。
裕ちゃんが見てた夢は現実にあった事。
家族か、友達か、もしくは恋人か。
急に逝っちゃったんだろね。
その人が慎吾っていうんだ。
その人と僕がかぶっちゃったんだ。
『裕ちゃん、ごめんね』
サラサラの髪をすきながらひたすら謝る。
.
最初のコメントを投稿しよう!