始まりのバツゲーム

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一瞬の静寂が訪れる。 そして次の瞬間には、悲鳴にも怒声にも似たような声が上がった。 「はぁぁぁ!? まじで??あの、名波さん!?」 「えー?本当に?? …すごく競争率高いじゃん…。」 「てか、無謀…だよね。」 「相手は高嶺の花…か。」 「まぁ可愛いから好きになるのも分かるけどさ…。」 「ごめんな、晃臥…。 協力のしようがないから協力できない…。」 色々な声が上がっては次の声が上がっていく。 しかしそれはすべて『告白の成功』など無いと思っている言葉だ。 しまいには協力のしようがないとまで。 それこそが彼女をこの『告白』の相手に選んだ理由だった。 名波 夕璃(ナナミ ユウリ)―― 彼女は少し大人し目の少女だ。 しかし、その容姿は誰もが可愛いと言うくらい可愛い。 入学して3ヶ月経った今では、学年1の、いや、学校1の美少女と言われるまでになっていた。 そして性格も誰にでも分け隔てなく優しい。 そんな彼女だから、よく告白をされる。 まだ3ヶ月しか経っていないというのに、告白した男子は20人を超えると言われている。 しかし、彼女はどんな相手でも告白を受けた事がない。 なんでも『好きな人がいる』からと断られているそうだ。
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