始まりのバツゲーム

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「だって彼女、この前結城(ユウキ)先輩振ったって聞いたよ?」 「え!?あのサッカー部で2学年一の美男子って噂の結城先輩??」 「そうだよ。また、『好きな人がいる』からごめんなさい。だって!!」 「うわぁ…。結城先輩にも勝るその『好きな人』って誰なんだ…?」 俺がそんな事を考えている間にも議論は進んでいて、もう彼女の『結城先輩にも勝る好きな人』を予想する話し合いになっていた。 結城先輩を振った、か…。 正に嘘の『告白』相手にはちょうどいい。 俺なんかが相手にされるはずもない。 「まぁ、少なくとも晃臥じゃねぇよな。」 「うん…。可哀相だけど振られる事決定だよね。」 そう悠馬と真由が言った途端、みんなから同情の視線が向けられる。 …これは流石に嘘の告白でも、なんか傷つくな…。 「てか、そこまで言うんだったらこのバツゲームなしにしようとかそうゆう発想はないのかよ。」 しかし彼らはきょとんとした顔をして、次は意地悪く笑った。 「いや、まだわかんないだろ? 諦めるってのは一番いけないんだぞ?」 いや、お前が少なくとも俺じゃないって言ったんだろ、悠馬!! 肩を叩きながらにこにこ笑ってそう言った悠馬に心の中でそうつっこみをいれた。 こうして俺は、名波夕璃に嘘の『告白』をする事が決定したんだ。
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