嘘の『告白』

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「お、おはよう…。 あんた、本当にどうしたの…。 …まぁ…たぶん言わないだろうからいいけど…。 手伝いならそこの野菜ちょっと切っといてくれる?」 何かあるのは分かっているのに何も聞かずに普通に接してくれる。 だけど俺が自分からそれを言った時は、真剣に聞いてくれる。 やっぱり…家族っていいと思う。 そう思いながらキッチンへと移動する。 口に出しては言えないから心の中で『ありがとう』と言いながら。 「うん、じゃ、これ切ればいい?」 「ええ、お願いね。」 そうやって俺は母さんの手伝いを始めた。 しばらくするとリビングの外から足音が聞こえてきた。 そしてそのままリビングへと足音の主は入ってくる。 「おはよう、母さん。 今汰臥(タイガ)は起こして来たんだけど晃臥は返事がなくっ……。」 そう言いながら入ってきた父さんは俺をみた途端、言葉を止めた。 「どうしたんだ…晃臥?」 …そんなに珍しいかな? 「おはよう、父さん。 ただ早く起きただけだよ。」 そう手を動かしながら父さんに返事をかえす。 この分だと兄さんも…。
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