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そう笑い合っていると、急に圭志は真面目な顔をした。
少し、怯えも含んだ瞳で。
「あの、さ…。」
歯切れが悪そうに言う圭志の口調に戸惑いを感じながら聞いてみる。
「何だ?」
一瞬俺と視線を合わせたあと、下を向いた。
それは何かを閉じ込めるようで。
「…いや、なんでもない!!
ほら、今日告白すんだろ?
早く学校に行って悠馬たちと作戦でも練ろうぜ!」
次に顔を上げた時には、真面目な顔も、怯えを含んだ瞳も、何も残っていなかった。
その様子に、俺は何も聞くことはできなかった。
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―――――
学校に着くとまた更に何とも言い難い気持ちが俺を締め付けた。
その気持ちを落ち着かすように圭志にばれないように深呼吸をする。
…圭志とはあの後、他愛のない話をしながら歩いて学校へ向かった。
なんとなくいつもとは違う空気が俺たちを包みながら。
その圭志の顔をちらりと見てみる。
笑っている。
いつもと変わらない、爽やかな笑顔で。
…いつもの、圭志か。
なぜ、あんな顔をしたんだろう…それに、何を聞きたかったんだ?
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