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圭志と話しながらそんな事を考えていた。
あの様子がどうしても頭から離れてくれなくて。
だんだんと校舎に近づく。
同じ制服を着た生徒達が次々と校舎の中へと入って行く。
人はだんだんと増えながら俺たちも校舎の中へ入るべく玄関に足を進めていた。
ふと、少し遠くの方から元気のいい、…よ過ぎる声が聞こえてきた。
嫌な予感が頭を過ぎる。
「晃臥ー!!圭志ー!!おっはよー!!
晃臥今日いよいよ告…」
大きな声で俺たちを呼ぶ悠馬は嫌な予感通りの事を口にしようとしていた。
「ああああああ!!おはよう悠馬!!
わかったからそれ以上この場で言うなぁ!!」
俺は悠馬以上の大声で言葉を遮り、同時に悠馬に近寄って口を手で塞ぐ。
こいつ何を大勢の人の前で言おうとしてんだ!!
いくら何でも『告白』の事をばらそうとするなよ!!
いくら、何でも…俺はこれから…彼女を傷つけるのに…。
そんな、明るい声で、大きな声で…言うような事じゃないのに…。
ぎりっと歯を食いしばりながら、悠馬を引きずって周りの視線から逃れるように校舎へと急いだ。
やっとの事で教室まで辿り着くと引きずっていた悠馬を離して地面に落とす。
「いったぁ!?」
そんな悲痛な叫びや抗議の声も無視しながら俺はゆっくりと悠馬の方へと向いた。
圭志がご愁傷様と悠馬に言って離れたのを合図に、俺は悠馬に近づいていった。
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