始まりのバツゲーム

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静寂とした空間で二人の少年が向き合っている。 真剣に向き合う二人の周りには数人の少年と少女がそれを見守っていた。 まだ幼い印象を与える彼等だが、表情は真剣そのものだ。 そしてその空間に流れる雰囲気は、何かものを言う事を許されないのではないかと錯覚する程だった。 「っ…―これだぁ!!」 突如、一人の少年が大きな声を出しながら手を動かした。 相手が持っている…トランプ二枚の内の一枚に。 再び静寂が訪れる。 しかしそれは一瞬で破られた。 「ょ、…よっしゃあぁ!! 勝ったぁぁぁあ!!!!」 少年は机に二枚のトランプを叩きつけ、立ち上がりながらガッツポーズをする。 そして向き合っていたもう 一人の少年はトランプを投げ捨てて、頭を両手で抱えた。 「さ、最悪、だ…。」 そう呟き、がっくりと肩を落とした。 その肩を勝ち誇った顔で笑っている相手の少年に叩かれる。
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