…幼き記憶…

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『ガギィィーーン』 暗闇に響く、鋼鉄の音。 ルッツはゆっくりと目を開いた…。 (……!?) そこには、大きな盾を構えルッツとドスガレオスの間に入る男がいた。 その男の傍らには、長い槍がある。 これがランスで、この男がランサーということは後で知ったことだ。 『大丈夫か?』 男は低い声で尋ねてきた。 『…うん。大丈夫。』 男の背中に向かい、ルッツは応える。 『危ないから、洞窟の隅へ行っていろ』 ルッツは答えるよりも早く、全力で駆け出した。 5歳のスピードなど知れてはいるが…。 男は、素早く後ろを振り返りルッツが避難したことを確認すると、武器を構えた。 (ハァ…ハァ……) ルッツはその場に座り込んだ。
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