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「サクヤ?」
ミクが眠たそうに目を擦りながら2階から降りてきた。
「おっは」
俺はいつものようにニュースを見たまま、ミクの方を向き直りもせずにぶっきらぼうに挨拶した。
中一の頃から5年間、この家で俺とミクは姉弟として育てられた。元々は幼なじみだ。
ミクのが誕生日が早いからミクが姉になった。でも、同い年だ。
「サクヤさ、そんなに早起きして何が楽しいわけ?」
「ニュース。それに、知ってるか?俺とミクの起床時間の差、10分なんだ」
「…やっぱアンタ嫌い」
一日に一回は嫌いって言われる。そんなミクの言葉にも、もう慣れた。むしろ、そうじゃないとミクじゃない。
「今日さ」
ミクが口を開いた。
いつもの口調より鋭い気がする。
俺はゆっくりミクを見上げた。
「ミリ実習。どうすんの?」
ミリ実習というのはMilitary実習の略だ。
才能ある者は、軍に引き抜かれてそのまま人間兵器として鍛えられる。
「行くわけないじゃん」
俺は短くそれだけ言うと、シャワーを浴びるために居間を出た。
ミクは俺から目を逸らしてキッチンへ向かった。
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