chapter1

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「サクヤ?」   ミクが眠たそうに目を擦りながら2階から降りてきた。   「おっは」   俺はいつものようにニュースを見たまま、ミクの方を向き直りもせずにぶっきらぼうに挨拶した。   中一の頃から5年間、この家で俺とミクは姉弟として育てられた。元々は幼なじみだ。   ミクのが誕生日が早いからミクが姉になった。でも、同い年だ。   「サクヤさ、そんなに早起きして何が楽しいわけ?」   「ニュース。それに、知ってるか?俺とミクの起床時間の差、10分なんだ」   「…やっぱアンタ嫌い」   一日に一回は嫌いって言われる。そんなミクの言葉にも、もう慣れた。むしろ、そうじゃないとミクじゃない。   「今日さ」   ミクが口を開いた。 いつもの口調より鋭い気がする。   俺はゆっくりミクを見上げた。   「ミリ実習。どうすんの?」   ミリ実習というのはMilitary実習の略だ。   才能ある者は、軍に引き抜かれてそのまま人間兵器として鍛えられる。   「行くわけないじゃん」   俺は短くそれだけ言うと、シャワーを浴びるために居間を出た。   ミクは俺から目を逸らしてキッチンへ向かった。
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