女になった

3/22
前へ
/124ページ
次へ
車に乗っている。エルグランドの三列シートの一番後ろで、外を見ながら乗っている。 前は楽しそうだ。 でも俺は不機嫌だ。体が女になっていて良いはずがないのだ。 というか俺はこのお出かけはしたくなかった。 風呂場で現実を見せられた俺は部屋で黄昏ていたのだ。女になった自分でどうやって生きていくのかと しかし、奴ら家族は俺の心的ケアを蹴っ飛ばし、部屋から引きずり出した。 そしたら親父が 「買い物にいくぞ」 ときやがった。朝からバイオリズムが最低ラインを飛行中なのに、無理やりエルグランドに押し込まれた。 「こんな時に連れていかなくたっていいだろ……」 「ダメに決まってるだろ。女の子なんだから、必要な物があるんだ」 そうですね……もう諦めましたわ。無理です 「父さんの言う通り! 義彦は黙ってればいいのよ。」 「さすが母ちゃんだ。黙ってればカス野郎が美少女に見えるって奴だろ」 痛い。心がいたい。 「ヨシ。私もついてるよ」 遥が一緒にいてくれたとしても、何も解決には繋がらないと思う。 「ずっと一緒にいよう?」 「俺は男子便にいくからな! ニューハーフと思われるほうがましだ。」 義彦はシートに寝転ぶ。 「そういう意味じゃないよ」 「あっ? 何か言ったのか?」
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

941人が本棚に入れています
本棚に追加