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車に乗っている。エルグランドの三列シートの一番後ろで、外を見ながら乗っている。
前は楽しそうだ。
でも俺は不機嫌だ。体が女になっていて良いはずがないのだ。
というか俺はこのお出かけはしたくなかった。
風呂場で現実を見せられた俺は部屋で黄昏ていたのだ。女になった自分でどうやって生きていくのかと
しかし、奴ら家族は俺の心的ケアを蹴っ飛ばし、部屋から引きずり出した。
そしたら親父が 「買い物にいくぞ」 ときやがった。朝からバイオリズムが最低ラインを飛行中なのに、無理やりエルグランドに押し込まれた。
「こんな時に連れていかなくたっていいだろ……」
「ダメに決まってるだろ。女の子なんだから、必要な物があるんだ」
そうですね……もう諦めましたわ。無理です
「父さんの言う通り! 義彦は黙ってればいいのよ。」
「さすが母ちゃんだ。黙ってればカス野郎が美少女に見えるって奴だろ」
痛い。心がいたい。
「ヨシ。私もついてるよ」
遥が一緒にいてくれたとしても、何も解決には繋がらないと思う。
「ずっと一緒にいよう?」
「俺は男子便にいくからな! ニューハーフと思われるほうがましだ。」
義彦はシートに寝転ぶ。
「そういう意味じゃないよ」
「あっ? 何か言ったのか?」
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