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それに対し 下唇をギリッと噛めば
口内にあの時と同じ香が広がった
「そう…いうこと……」
だがしかし、それは確かなことだった
最後の最後まで彼は
今此処で 何がどうなっているのか
判っていなかった 故、
死んだことを確認していないのでは
と思う。
「言えばよかったのに」
テツはその言葉にくもりががった
冬の空を見上げる。
「そんな大業、俺に出来る訳が…」
「そんなら サイナラ」
パアァァンッ!!!
突然の出来事に頭が上手く廻らない
何が? どういうこと?
ケン?
嘲笑うように立つ彼はベンチの下に
染まりゆく僕を見下ろす
右手に持たれた黒い銃は煙を吐き
「お前も使えん奴やね」
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