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「茜ー!!」
私は叫び、前方に小さくそびえ立つ人影の名を呼ぶ。
その声が届いたのか、人物が振り返った。
「おっそいよ衣弦ーッ!」
その人物――茜は眉を軽く吊り立たせ、唇を尖らせムッとしたような顔を見せた。
「あんたが早過ぎるんだよ、これでも走ってきたんだから。」
「うっそだぁー、息上がってない癖に。」
「私はあんたと違って運動神経が発達してるからですー。」
「何それ嫌味ィ!?」
あ、しまった余計怒らせたか、と頭で考えるも、
私は反省の色を見せなかった。
私達は少し、図々しいくらいが丁度良いからだ。
「まぁまぁ茜、昨日見つけたハンター夢サイト教えてあげるから機嫌直してって!」
「え、マジで!?じゃあ帰ったら衣弦の家行って良い?」
「はいはい、勿論ですよ。」
「やったぁー!!」
茜の質問に笑って答えると、茜は飛び跳ねて喜んだ。
私はそれを見て子供だなーと言うと、また茜は突っ掛かって来た。
笑ってそれを受け流し、学校への通学路を私達は歩いて行った。
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