カメン

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カメン

昔 彼は顔を削がれた… そんな彼にカメンが言うのだ 「私を被って御覧なさい」 彼はカメンを被って歩いたのだ 彼はカメンを通して人を知り 彼はカメンを通して人を愛する やがてカメンは寂れゆく やがて彼の恋人はカメンの裏を知りたがる そんな彼にカメンが言うのだ 「私を外して御覧なさい」 彼はカメンを外したが カメンの下もまた仮面 彼には顔がないのだから カメンが外せる訳もなし やがて恋人は彼の届かぬ処 そんな彼にカメンが言うのだ 「お前は私、私はお前。私の名前は宿命」 彼はカメン カメンは彼 彼はカメンを捨てない 彼はカメンを愛した
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