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カメン
昔 彼は顔を削がれた…
そんな彼にカメンが言うのだ
「私を被って御覧なさい」
彼はカメンを被って歩いたのだ
彼はカメンを通して人を知り
彼はカメンを通して人を愛する
やがてカメンは寂れゆく
やがて彼の恋人はカメンの裏を知りたがる
そんな彼にカメンが言うのだ
「私を外して御覧なさい」
彼はカメンを外したが
カメンの下もまた仮面
彼には顔がないのだから
カメンが外せる訳もなし
やがて恋人は彼の届かぬ処
そんな彼にカメンが言うのだ
「お前は私、私はお前。私の名前は宿命」
彼はカメン
カメンは彼
彼はカメンを捨てない
彼はカメンを愛した
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