『当選おめでとうさん』

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   ……おかしい。なにか違う。  どこがどうとは分からないけれど、あたしは、人間を相手にしている気がしなかった。 「ふふ。なかなか鋭いな」  男はにやりと笑い。腕組みしたまま、手首だけを立て、あたしを指差した。 「その缶ジュース。よく見てみな」  手にしていた缶に目をやり。  あたしは驚いた。 「ファンタ……ゴールデンアップル!?」  そんな馬鹿な。  あたしが押したボタンは、グレープだった筈。  ていうか、こんなファンタ、見たことも聞いたこともない。 「試供品でもなきゃ、業者の入れ間違いでもないぞ。お前さん、悪魔を引き当てたのさ」   
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