202人が本棚に入れています
本棚に追加
「なにか、ずっと同じことを言われてるような…」
思いだそうとしているのか。
寝ようとしているのか、わからない状態で。
「なんやったっけな」
あー。
うーとうめく。
「"きっと"…」
きっと。
(……?)
なんだか。
聞いたことがあるような。
「"きっと"…」
夢のなか。
あの言葉。
でも。
どうしてだろう。
記憶が。
「あれ…」
夢の記憶。
思い出したくても。
思いだせない。
「…まぁ、思いだしたらでえぇって」
本気で悩み出すやすに、かぁゆは助け舟をだす。
「まず、少し休め」
「でも」
「気にすんな」
そう言ってやると、やすは小さくこくんと頷く。
席をたち、机に手をつきながら、おぼつかない足取りでソファーへと向かう。
一時間も寝かせれば調子も戻るだろう。
そう思っての判断だったが。
「…っ…」
ぐらりと。
彼の体が傾いた。
「…!? おいっ…」
反射的にかぁゆは椅子を蹴り飛ばし、手をのばした。
最初のコメントを投稿しよう!