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天気がよかった。
かんかんと照りつける太陽。
光を反射して、鮮やかな青を咲かせる噴水。
公園には親子、友人、恋人たちが集い、今日の天気を楽しむ。
休日。
週に一度のその日は、楽しめとばかりに天気が応援していた。
これだけ太陽が輝いているにも関わらず、季節のせいで、気温は意外と低い。
子供にとっては、外ではしゃぐにはちょうどいいだろう。
そんな、春の初め。
雪はとけ、街中にはところどころに緑が見え始めた。
「う~…」
その街中を。
一人の男性が歩く。
黒のジャケットは彼のすらりとした体型を映えさせる。
耳にはピアス、指には高価な指輪。
片手でタバコに火をつける仕草は、異性ならばふっと目にとめてしまうだろう。
そんな、バッチリ決めた彼の唯一の欠点は。
「なんで日曜に仕事せなあかんのや…」
ぶつぶつとつぶやきながら歩いていることだった。
たまにすれ違う人が、びくりとして一歩離れる。
が、彼は全く気がついていなかった。
それほどまでに。
「…くっそ」
彼はいらついていた。
今日は日曜。
本来なら家でゆっくりしていたはずなのに。
「ぜぇーんぶ、あいつのせいや…!!」
なにかを思い出したのか、眉をひそめながら、
「なんで自分の仕事すんのに人巻き添えにすんねん」
不機嫌につぶやいた。
…すれ違った人が怪訝な顔で遠のいていったことは、眼中にはない。
「ムカつく」
はぁーと煙をはいて。
彼は2本目のタバコに火をつけた。
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