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事務所の真ん中にある白いソファー。
なかなか幅は広く、大人一人が横になれるほど。
普段なら休憩時間に誰かが寝そべっていたりするが、今は誰もいないはず…
…なのに。
ソファーにごろんと寝ている人物がいた。
そいつの服や髪で、一目でもう誰かわかる。
「……」
かぁゆは無言でソファーへと近づいていく。
ソファーにうつ伏せになって寝転がる、それ。
近づくと、すやすやと穏やかな寝息が聞こえた。
それに、
「お前…人に手伝わせといて、自分はオネンネか?」
聞こえていないとわかりつつ、つぶやいた。
案の定、返事はない。
「おーい、こら」
しゃがみこみ、耳元に話しかける。
寝ている彼の金に近い色の髪を少し引っ張ってみた。
「コーヒー買ってきたで~。とりあえず起きんかい」
ぐいぐい。
ぐいぐいぐいぐい。
「……」
やっぱり起きない。
どうやら、完全に眠りに陥っているようだ。
「こら、起きろ、やす」
名を呼ぶ。
同時に、べしっと頭を叩いてみた。
「……」
起きない。
(…あ~)
どうしたもんか、かぁゆは頭を抱えた。
彼が疲れているのは、よくわかる。
とくにこの1ヶ月は、両面シングルなどで仕事がつまっていた。
寝てしまいたい気持ちはよくわかる。
わかるが。
(俺ほうっておいて爆睡すんなや、あほぅ!!)
疲れているのはこちらも同じ。
持っていた袋をテーブルに置き、かぁゆは息をついた。
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