愛しい人

突然の父の死

『３８歳だって若すぎるね…奥さんと子供３人残して可哀相に…』
『飛び出してきた子供を助けようとしての事故ですって…』
父の葬儀に参列して下さった方々がヒソヒソと話す声が耳をかすめる。
父の性格からなのか…
父は色んな人達に慕われ、可愛がられ、どこまで続くんだろうと思う程の喪服の群集、母を始め僕ら家族に泣きながら父を語ってくれる友人の方々…
『君が一吹君かい？お父さんはいつも君や妹さん達の話をしていたよ、子煩悩でね、どんなに辛くても笑顔を絶やさず、我々に勇気を与えてくれる人だったよ、もっともっとアイツと笑い合いたかったな～寂しいなぁ…力になれる事は何でも言ってくれよお父さんの恩は君達に返すからね』
皆が口を揃えて可哀相だとか寂しいとか言ってくれるが嬉しくも何ともない
ただ母と妹達は泣き崩れている。
僕はというと父の死をまだ受け入れられずに泣くことすらできていない。
飛び出した子供を助けようとして事故に合い父は亡くなった。
父はそうゆう人だ、正義感が強く優しくていつも笑顔を絶やさぬ人だった…。
父と僕との時間がたった１８年間でこんな形で終わってしまうとは考えてもいなかった。
泣き崩れる母と妹達をこれからどう守っていけばいいのか、頭が真っ白になった。