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『ほな…友達には悪いけど,感謝せなあかんな…』
「…ん?」
『むちゃくちゃ…会いたかったで…』
ほんの少し風が吹いて,私は石橋さんと以前最後に会った時を思いだした。
「あの…公園…行けなくて…ごめんなさい…」
『…なんの事や?違う男と間違ってないか~?』
石橋さんは微笑んだ。
『…寒いし,戻るわ…元気でな』
そう言うと,石橋さんは,ゆっくりと車椅子を歩かせて,行ってしまった。
もっと,気の効いた言葉をかけてあげられたら…
石橋さんの去って行く小さな背中を,私はまっすぐみつめる事が出来なかった。
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