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2008年7月
それから,また季節は巡り…
暑い夏が訪れた。
その頃は,私の中で
《石橋さんは,元気で生きている》
そう願って,自分に言い聞かせる事しかできなかった。
勝手かもしれないけど,でも,不思議と,そう思うことで気持ちを落ち着かせる事が出来た。
そんな,暑い夏の日…
私は仕事の営業で,北部病院の近くを訪れていた。
昼休み時間になったので,海沿いを走っていた私は,途中のドライブインに車を止めて,少しだけ海辺に降りる事にした。
海水浴を楽しむ家族の笑い声が,仕事で疲れた私の心を癒やす。
海辺の木の下で,黒いスーツを着た男性が,その家族を見て,微笑んでいた…
《私と一緒だ。》
それがなんだかおかしくて,私も微笑んだ…
その時だった…
その男性が振り向いて,私をみつめる…
まさか…ね?
まさか…
私は,驚いたからなのか,何故だかわからないけど
一粒の涙が…私の頬をつたった。
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