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『ほんま…よ~会うな(笑)』
しっかりとした口調で,出会った頃と変わらない声…
私は一瞬ホッとした。
でも,改めて石橋さんの姿を見ると,やっぱり痩せ細った体は,そのままだった。
「本当,忘れた頃に会いますね!(笑)」
それでも,私は精一杯の笑顔で言葉を返した。
『なんや?忘れてたんか?きっつー(笑)』
久しぶりだった。
2人で笑うのは…
『なんか,久々にスーツが着たくなってん…そしたら,昔バリバリ働いてた頃,スーツのまま,よ~海辺でサボってたの思い出してな…』
石橋さんは,まだ入院中で,ほんの少し外出が許されただけだった。
退院して,仕事を始めたと思った私は,正直…ショックだった。
でも,笑っていなくちゃ!って思って…
「私は,サボってませんよ?お昼休みですからっ♪(笑)」
『よ~ゆ~わ!どっからど~見てもサボりやんけ!(笑)』
「違います~!あ~忙しい忙しい!(笑)」
少し高めの波が押し寄せて,少し大きめな波の音がした…
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