病室

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木村さん… 以前,石橋さんが話てくれた,石橋さんのお母さん代わりの人だった。 私も挨拶をした。 『ほな,おばちゃんは邪魔になるし,今日は帰るで?』 そう言うと,木村さんは病室を後にした。 木村さんは,石橋さんを心配して,先月から石橋さんの借りているアパートに泊まっていて,毎日看病しに来ているという事だった。 「優しい人だね。」 『ほんま…自分の家族もあるのに,わざわざ俺の為に…』 石橋さんは,軽く溜め息をついた。 「個室なんて,凄いなぁ~石橋さんて,金持ち?(笑)」 『あほか!それなりに稼いだ金やん!まぁ~人生最後の贅沢やな(笑)』 「またそんな事言う…怒…そんな事言ったら,もう来てあげませんよ~!(笑)」 『うっそ~ん?!冗談やんけ~(笑)』 今となれば,石橋さんがどこの地で産まれ育ち,どんな学校を出て,どんな仕事をしたのか… どんな所に行って,どんな経験をしたのか…それから…病気の原因や正式な病名も… 全て聞いておけば良かった。 そう思う。
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