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生きて行くねんで?
あの日から,もう10日が過ぎていた。
私は,旦那への罪悪感と石橋さんへの,自分でも分からない気持ちで混乱していた。
そんな気持ちのまま,私は病院の前で立ち上まっていた…。
『そんな怖い顔して,どうしたの?』
ちょうど,病院を訪れた木村さんだった。
「あ…こんにちは。」
『あそこで,ちょっと話ましょう。』
木村さんは,温かい手で私の背中をそっとおした。
病院の入り口のベンチに座った。
『あの子ね,8月末頃までの命やって。言われてるんよ…でも,不思議やね,余命1年て言われてから,もう2年以上になる…』
「石橋さんは,強い人ですね。」
木村さんは,微笑んで話を続けた。
『せやで…強い子やわ…だからね,もう大丈夫よ?』
「…?」
『あなたには,一番大切にするべき人がおるんやろ?』
一番…大切にするべき人。。。。
『あの子は,あなたに惚れとる…そやけど,あなたに出会えただけで幸せやったんよ。』
「でも…木村さん,私は…」
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