出発

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早速次の日、翔太郎は克哉の家に来た。克哉は二階から、二人の声を聞いていた。 「突然お邪魔して申し訳ありません。お願いがあってきたのですが・・」 「あら、今日はどうしたの? 克哉は、二階にいるわよ。」 「いや、今日は克哉君のお母さんにお願いがあってきました。来週の月曜日から俺と拓也と克哉の3人で、夏休み旅行ってことで、沖縄に行こうと思うんです。克哉も連れて3人で行きたいんです。」 克哉の母親は困った顔で答えた。「うちの子ね~。夏休み入ったらすぐ塾に入る予定なのよ。あの子ももうすぐ受験生でしょ。いい大学に行かせたいのよ。 しかも、お金はどうするの? 沖縄に泊まるとしたら結構お金がかかるじゃない。旅行の代金は誰が払うの?」 「それはもちろん僕が払います。一応俺専用の銀行口座にオコヅカイがたくさんありますので。あと、塾の件ですが、これでどうにかしてもらえないでしょうか?」 翔太郎は細長い紙に何か数字が書かれていたものを克哉の母親に差し出した。「何これ? お金じゃわたしは簡単に動かせないわよ。」そういいながら、差し出された紙を受け取りその紙を見た。中には5,000,000と書かれた物があった。克哉の母親はしばらく何も喋らなくなった。翔太郎は心配して、「もう少し必要でしょうか?」と言った。あまりの金額に硬直していた克哉の母親は、翔太郎の声を聞いて我に帰り、「いや、もういいわ。これ以上アナタから貰うことは申し訳ないわ。わかりました。塾の事は私がなんとかします。これからも克哉の事ヨロシクね。」 克哉の母親は満面の笑みで言った。「はい、ありがとうございます。では、お邪魔しま~した。」 「気をつけて帰るんだよ。」「はい。」 そうして翔太郎は克哉の家のドアを閉めた。克哉の母親は、完全にイカれた感じになり、「この金は私の物よ~。この金は私のためだけのものょ~ オーホホッホッホッ。」 克哉の母親が居間に入るのを確認するなり、翔太郎に電話をかけた。「お~ぃ、翔太郎~聞いてたぞ~。よく俺の親、説得出来たなぁ~アレどのくらいやったん?」 「う~ん。かる~く500万くらいかな。最近の塾だったら結構金掛かるだろうな~って思って。あのくらいかな~って感じ。」 「あのさ~、500万って一年やってもまだ余りそうなんですけど。」 「うそ~。最近の塾ってそんなに安かったん? じゃあ、愛敬って事で。」 「つくづく、オマエの金銭感覚がわかんねぇ~。」
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