出発

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本文にはこう書かれていた。「プリクラの左にいるのが私。キモクてごめんね。」 じっくりそのプリクラを見ると、髪は今流行の巻き髪で茶髪。輪郭は細めですっきりしている。眉は細長く整えられていて、目頭に青いアイシャドウが細く塗られまつげも少し立てている。鼻は小さく、かわいい。口元は薄く口紅にが塗られていて、ぷるんとしている。余りケバくはなかったのでそれが拓也にとっては嬉しかった。 すぐに自分が一番カッコいいと思う写真を携帯に取り込み、添付してキョウコに送った。 「これが俺です。キョウコちゃんは俺の好みだよ。キモクなんてないょ。自信持って!」 それから5分くらい経ってメールが来た。「写メアリガト。自信持てるょ~に頑張ってミルね。ところで、突然で申し訳ないんだけど、迷惑じゃなかったら私のメルアド教えてもいいかな?」 「はっ!えっ!」 突然のメルアド送るかもしれないメールに拓也はちょっと怖くなった。「あれ、これは余りにも早く事が進みすぎじゃないのか? これは警戒した方がいいんじゃないかな?もしかしたらセフレ目的で俺に近付いてきたとか・・・」 拓也は予想外の展開になると優柔不断になりやすくなるのが玉にキズだ。中学生の頃もなかなかいいルックスから何人かの女子から突然告白を受けたりしたのだが、突然逃げだして相手を泣かせた事も何度かあった。高校生になってこのサイトに入ってからは大抵自分からメルアドや電話番号を教えていたのでこのような事な無かった。またこの性格のせいでせっかくのチャンスを逃したくないと思った拓也は、これは賭けだと思って、意を決してメールを送った。「いいよ。俺もメルアド教えて貰おうかな~って思ってたし。そっちがメールにアド添付して送ったらすぐそっちにメールします。じゃ、すまないけどお願いしま~す。」 メールを送った後、拓也は返信が来るまでずっと携帯の前で座って手を合わせて祈っていた。10分ほどしてメールが返ってきた。「ワタシのメルアドはwxxw w・・・・・・・だよ。メール待ってる♀」 拓也はすぐさまそのメルアドを紙に書き取り、新規メールから宛先欄にメルアドを打ち込んだ。本文には「このメール送れてますか?」と打って後は送信ボタンを押すだけとなった。いつもならすぐ押せていたが、今回はなぜか緊張していた。深呼吸を何度もした後、送信ボタンを人指し指で推した。画面には「メールを送信しました」と書かれていた。
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