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「四葉さん、化粧落とさないと肌荒れちゃうよぉ」
わたしは布団の中で丸い形になっている四葉さんに声をかけた。
「んん、もういいのぉ。わたしぃ、ぶすになってもいいのぉ」
四葉さんは小さな声でそう返事をした。
わたしは仕方なく四葉さんの顔だけを布団の中から掻き分け、メイク落しのコットンで化粧を拭き取った。
途中で四葉さんは「ありがとぉ」とか「冷やっこくて気持ちいいぃ」とか言っていた。
四葉さんの顔を見ていると小じわを見つけてしまい、自分もそういう年なんだなぁとしみじみ思った。
ついでに頭の髪の毛も覗いてみたが、四葉さんの髪は綺麗な甘栗色に染まっていて、白髪らしきものは見つけられなかった。
四葉さんの化粧を落とした後、自分の化粧も落とした。
昔より化粧が少しずつ落ちにくくなっているような気がした。
覗き込んだ素顔の自分は、とても痩せて映って見えた。
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