prologue

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クリスマスの夜 最愛の人を探して、 ヒラヒラ降る雪の中を走った 冷たい風が切れるように痛くて、泣いてしまいそうだった たどり着いた先にはきっと 優しいあの笑顔が待ってると 信じていた あたしの瞳に映りこんだのは 真っ白な雪に 真っ赤な血液が飛び散って “彼”が倒れていた 彼の胸に突き立てられた包丁が、月灯りに照らされて光っていた 彼の頬に触れた瞬間 ――雪みたいに冷たかった 近くで 真っ白なウィンターコスモスが 揺れていた……  
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