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「土方さん…わたし、いつまでもここに居たら、迷惑ですか?」
思いがけない言葉に、息がとまった。
「なぜ?」
「狙われて…みんなの仕事を増やしてる」
「なんだ、そんなことかよ!」
大げさに驚いてみせると、
「んなの、気にするじゃねぇよ!仕事のうちだ」
声音をあげて、笑い飛ばした。
「意外…」
「あん?」
「…ううん。ありがとう」
眞子は嬉しそうにつぶやくと、肩をすぼめてうつむいた。
「眞子」
「え……?」
ふいに名前を呼ばれて、なぜか耳たぶが熱くなる。
かすかに口の端を上げた土方が、愛しげに、その頭を撫でた。
「おまえは笑ってろ」
「…今日のこと、忘れません」
「なんでだ?」
「ふふ…」
自分でも、どうしてそんなことをしたくなったか、わからない。
仔猫のようにスッと近づいて、やはり赤らんでいる彼の頬にキスをした。
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