水と油

5/16
前へ
/842ページ
次へ
寝起きの、まだボーッとした頭で、彼女は考えた。 (2008年から来ました…なんて、この人は信じてくれるんだろうか?) 疑心暗鬼の塊みたいな男だもの、言った瞬間、斬られそう… そんな彼女の姿に、無意識のまま釘付けになる土方。 色白の肌に、やや派手めな顔立ち… なにげに好みのタイプらしいが、そんなそぶりは微塵も見せずに、相変わらず猜疑の目を向ける。 「答えられないところを見ると、やはり間者なのか?」 「…かんじゃ?クランケ?」 「くらん…?」 「……わたしの言うこと、信じてくれるんですか?」 「あん?」 いぶかしげに眉をひそめる土方に、眞子は慎重に言葉を選んで、これまでの経緯を話して聞かせた。 (最期が斬首なんて、勘弁!) 心から思った…いや、切望した。
/842ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9367人が本棚に入れています
本棚に追加