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「ほぅ…分かってるじゃねぇか」
不敵に笑いながら、近づいてくる。
「やだッ!こないでよ!」
後ずさりしたが、狭い部屋ゆえ、すぐに冷たい壁に突き当たる。
うっすら光る涙の跡に気付いた土方は、ほんの一瞬戸惑った。
だが表情には毛ほども出さず、相変わらず冷めた目を向けて厳しく言い渡す。
「お前の素性がハッキリしないうちは、帰すわけにはいかねぇんだよ」
「…こに?」
「あん?」
「どこに帰るの?どうやって…?わたしだって、こんな所にいたくない…」
また、鼻の奥がツンとしてきた。
うるうると無遠慮にこみ上げてくる涙を、必死に押し戻す。
この人の前で、みっともない泣きっ面をさらすのだけは、ご免だ。
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