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「俺、手伝おうか?」
槍を背に、踊るように軽やかに現れたのは、原田左之助。
ぱっちり二重で色白の、なかなかの美男。
非番の日には、よく総司と一緒に美味いもの巡りをするという。
「やめておけ、さの。眞子ちゃんの仕事を増やすな」
すかさず言ったのは、永倉新八。
実直そうで、がたいがいい。
総司と共に、剣術師範を務めているとのこと。
「さのさん、眞子に近寄らないでください。毒牙にやられます」
「なにぃ?総司!コノヤロッ!」
ペロッと舌を出して総司が身を翻したら、それが合図のように開始されるおいかけっこ。
呆気にとられて、その姿を目で追う眞子の前で、一時停止、
「困った時は、何でも言いなっ」
弾んだ息でそれだけ言うと、全速力で走り出した。
クスクス…
今日は、笑顔の多い彼女だった。
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