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モンスターは、ギロッと鋭い目で眞子を見やると、
「用もないのにうろうろすんな。うさぎ小屋で葉っぱでも食っとけ!」
つばを吐きそうな勢いで言った。
「言われなくても帰りますっ!」
眞子も負けじとアッカンベーをして、くるりと背を向けた。
「なっ…」
顔を赤らめて何か言いかけた土方に、
「…ありがとうございます」
消え入りそうな声でつぶやいて、ふり向くことなく対座する。
傍らで見守る総司は、ただ静かにほほ笑んでいるだけだったが、土方の戸惑いも眞子の心境も、手にとるようにわかっている。
「な、なんだ?あいつ…」
更に頬を赤らめて口ごもる土方を見て、総司は手を止めることなく、くすくす笑っているだけ。
くすぐったさと居心地の悪さを感じて、土方はガシガシと頭を掻いた。
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