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京の夏は、昔も今も変わらず暑い。
時候の挨拶ならば、間違いなく「酷暑のみぎり」だろう。
体調を崩す者も多かった。
割と規則正しい生活を送っていた眞子も、毎年、【暑い→食欲減退→冷たいものを飲む→→浄化力衰退→更に食欲減退】という悪循環に陥る。
日常の雑用に加え、不調を訴える若者たちの看病に、菊乃も眞子も目が回るほどの忙しさ。
今日も、たらいに積まれた山のような洗濯物を抱え、おぼつかない足どりで、屯所内を往復していた。
ドンッ!
前から歩く何者かとぶつかり、眞子はしりもちをついた。
「ひゃあッ!洗い直しぃ!」
ぶつけたお尻より、真っ先に浮かぶのは、洗濯物の安否だ。
「あ、ごめんなさい!大丈夫ですか?」
顔をあげて、ぶつかった相手に謝ると、
「なにやってんだよ…」
不機嫌そうな土方が、彼女を見下ろす。
なんでよりによってこの人?
泣きっ面に鬼じゃん!
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