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「なんでだよ!!なんでこうも上手くいかないんだよぉ!!」
男は酔っていた。
場所は深夜の公園。
ブランコに座りぶつぶつとつぶやいているとおもったら突然叫びだしたのだった。
「好きだって言ったのはお前の方じゃないかぁ!だから俺は頑張って…なのに会社クビって……う~何が、『あなたは仕事が恋人なのよ』だ!仕事と恋人一緒にするなぁ!!仕事とSEXできるかっ!!だいたい俺は仕事の為に恋人頑張って…あれ???恋人を仕事に…仕事の???…ん???」
もはや支離滅裂だ。
その後もひとしきり叫んだ後、男は突然糸の切れた操り人形のようにガクっと肩を落とした。
酔いが醒めはじめたのか髪を後ろに撫で付けながら前方の花壇をぼぅっと見つめはじめる。
「神なんて信じた事ないけどさぁ…神様ぁ…俺はあんたに何かしたかな。それとも…」
額に手をやり古い傷痕を覆う。
「まだ許してくれないのかよ。」
男の脳裏に濁流が甦り、波に呑まれる小さな手が映る。
暗い背景に青白く映えるそれはだんだん遠くなって―――。
「神は許すと仰せです。」
いきなり頭上で声がした。
びくっと男は身を強張らせるとゆっくり顔を上向かせる。
街灯の逆光のせいで上手く顔が見えない。
声の主は背後から覆いかぶさるようにこちらをのぞきこんでいた。
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