望み

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「はあっ…ゃっ…んん!…ぁ…」 「くそっ…とまんねっ…くっ…っは」 「ん…んっ…やっ…ぁ…ぁあっ!」 「…っは…大丈夫か?」 ―――どうしてこうなったのかよくわからない。 あの後あのまま公園にいるのはまずいと思い場所を俺の部屋に変えた。 そして…俺は望みを言った。 ここまできて真偽を問うなんて、そんな理性を俺が持っているはずがなかった。 酔っていたし、心も体もボロボロで、そんな時に差し出された手を拒む程俺は強くなかった。 俺は望んだ。 なくした物を返して欲しいと。 恋人も仕事も生きる希望も。 自分の手を見つめながら頼んだ。 この手から零れていったものをもう一度俺に与えてくれと。 天使は一言「了解しました」と告げた。 俺は自分の手に落としていた視線を上げ、そのまま固まってしまった。 本日二回目のフリーズだ。 天使は身につけていたものを全て外した格好で俺の前に立っていた。 驚きのあまり天使から目をそらす事ができなかった。 「え……な、何のまねを」 「恋人を返して欲しいと仰せでした。」 一歩また一歩と近づいてくる。 それに比例して俺は一歩また一歩と後ずさる。 「い、いや…確かに言ったけど…それで何で君が…」 「先程『仕事と恋人を一緒にするな、仕事とSEXできるか』とおっしゃっていましたので…恋人とはそういうものだと認識いたしました。」 公園の俺の愚痴を聞いていたようだ。 せまい一人暮らしの部屋に逃げ場は少ない。 「あ~確かに言ったけど…そうじゃなくて――」 「私ではだめですか?」 その時の天使の表情は今までと違う気がした。 切羽詰まったような…なんだか人間くさい… 考えていたら天使はすぐ目の前にいて俺の手を取りさっきのように自分の頬に当ててきた。 そしてもう片方の手で俺の頬を包んだ。 俺は酔っていたし心も体もボロボロだった。 濡れて光る黒い瞳が近づいてきて、そこで俺のボロボロの理性は砕けちったのだった。
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