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「し、信じられませんわ……あのアスナさんが夏休みの宿題を終わらせたなんて……」
「何よ、いいんちょ」
やや不機嫌そうに相手を睨めつける。
「まぁまぁ、アスナさんもちゃんと宿題をしてましたよ。先生としては嬉しいです」
ぬっ、と気恥ずかしそうに顔を赤らめながら、明日菜はそっぽを向いてしまった。
「え?じゃ、じゃあ宿題終わってないの私だけ!?古菲は?」
「残念アルね、私ももう終わたアルよ」
こちらも自慢げに無い胸を張って答えた。
「えっ嘘っ!?ホントに私だけ?」
よほどショックだったのか、誰かに助けを求めるように、そわそわと周囲を見渡すが、皆の瞳は『ドンマイ』と語っていた。
「え~、宿題はやることに意義がありますから、遅れてもキチンとすれば全然問題ないですよ」
「うぅ~、ネギ君ありがとう。放課後頑張って提出するよ」
「はい。待ってますね」
ショックを隠せないまき絵に笑顔を向けると、ネギは予定通り次へと進む。
「それでは……今日の予定はこれから体育館に行って、学園長の話があります。その後は一時間の授業、そして大掃除を行い、最後に簡単な連絡があります。ですから午前中には……」
「ひゃんっ!」
静かにネギの話を聞いていた中で、突如としてかわいらしい悲鳴が響きわった。誰もがその声が聞こえた方、後ろを振り返っていき、その主を認めて目を丸くした。
「えっと……マ、エヴァンジェリンさん?」
ネギが代表して、その意外な人物に声をかける。
「何でもない」
そっけなく返すが、恥ずかしさからか、赤面していた。だが、それだけではなかった。ある意味深く付き合っているネギにはそれ以外に何か違和感を感じた。
「あの、本当に大丈夫ですか」
「ああ!さっさと続けろ!!」
もう話しかけるなと言わんばかりに拒絶する。仕方なくネギは、
「何かあったらいつでも言いてくださいね。それでは皆さん、今日は午前中に終わりますが、ハメを外しすぎないよう節度ある行動をしてください。では、体育館に行きますよ」
「「は~い」」
すると丁度チャイムが鳴り響き、HRの終わりを告げた。3-Aだけでなく、全学年の生徒が一斉に体育館へと向かい始めた。
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