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(くそっ!ガキどもの前でこんな……)
全校生徒が体育館へと向かう中、エヴァが非常に不機嫌なのか、険しい表情で歩いていた。さらにその顔にはそれ以外に疲労感が、僅かな者にしか分からない程度だが、確かににじみ出ていた。
「大丈夫ですか?マスター」
その中に入る茶々丸が心配そうに声をかけてくる。もっとも、彼女はその原因を知っているのだか。
「ああ。気を付けんといかんな。さっきのような醜態を全校集会でさらすわけにはいかない」
若干ふらつきながらも、周りに遅れることなく体育館の中へと入って行った。そして、学園長の話し中に、
ダンッ!!
エヴァは危うく倒れそうになったところをなんとか踏みとどまったが、おおきな音と、列からかなりはみ出し、四つ隣のクラスの子まで注目を受けてしまった。
どことも知れない漆黒の密室に青白く浮かび上がるディスプレイの前に、男女が立っていた。一人は裾が地面につきそうなほど長い白衣を着、丸眼鏡をかけて、普通の何倍も大きいキーボードのようなものに高速で打ち込んでいく。もう一人は闇にまぎれ、満足そうな顔だけがぽぅっと浮かび上がっているようであった。
「中の様子はどうだ?」
「ん?ああ、予定通りほとんどの学校は午前中に終わって、もう部活も終わったとこもあるわね」
「作戦決行の十五時まで後三分か……」
「ええ。生徒や一般人もいい感じになってるわ」
すると、男は少し間を置き、
「それにしてもこんな作戦で本当に大丈夫かね?」
本当に心配しているのかどうか、分からない調子で話しかける。
「んん?だぁいじょうぶだって!私に任せておきなさいって」
カタカタと打ち続けていた手を止め、に~ぃっと笑みを浮かべ、子供のように嬉々とした低い声で、
「で~きた」
そして、ゆっくりとEnterと書かれたボタンの上に持っていく。
「さぁ~て、そっちの準備はいい?」
「ああ。後十秒だな」
「じゃあ、おっぱじめるとしますか……麻良等潰しをね」
あっけなくそのボタンは押された。
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