散らばる予兆

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「いや、大したことじゃないんじゃが、この所魔物や悪霊の動きが活発なのは知っとるかの?」  ネギ、明日菜、木乃香の三人はお互いの顔を見るが、心当たりがないのか一斉に首を横に振った。ただ一人だけ、 「はい、そのようですね。私も昨日二三匹見かけました」  キッと引き締まった表情の刹那が答える。 「え?じゃあ、魔物たちが攻めてきたんですか?」 「ちょっ、それって一大事なんじゃ……」 「いや、今のところこんな動きはないから安心していいよ」  今にも飛び出しそうなネギと明日菜にタカミチが声をかけてなだめる。 「確かに異常な数の魔物たちが学園内に侵入してきてる。だけど不思議な事に、麻帆良内に入ってくる魔物の大半は結界の中に入ったら、そのまま中心部までは侵攻してこないんだ。大体十数分で外に出ていくね」 「え?」「へ?」「何なん、それ」  刹那を除く三人がきょとんとなる。  つまり、麻帆良に入っては出で、入っては出てを繰り返しているのだろうか、または入れ替わり立ち替わりで侵入、離脱をしているのだろうか……どちらにしても不可解な行動だった。 「麻帆良を偵察する……っていう訳ではなさそうですね」  一通り思案を終えたネギが自身の意見を述べる。その意見に刹那もうなずき、 「ええ、そうでしょう。私が見た魔物は道に迷ったようにふらふらとしていて、とても偵察には見えませんでした。そして何より……」 「その魔物は偵察のような高度な指令をこなせるほど霊格は高くなかった」  タカミチの言葉にはいと答える。 「むしろ、非常に簡単な指令しかこなせない、最下層でした。学園内に迷い込んでくるのと同じ霊格です」 「じゃが、はぐれの魔物にしては数が多すぎるのじゃ」 「つまり誰かが何かの目的で召喚した……」  ネギの答えに学園長とタカミチがうなずくが、 「その可能性は十分に高い。だけど、確実にそうといえるものもない」
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